RPA技術の導入が日本国内で急速に進んでいますが、実は海外でもその波は高まっています。
本記事では、日本と海外のRPA導入状況の違いや、日本企業がRPA導入を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
RPAの流行りは日本だけではない
実は、RPAの流行は日本だけの現象ではありません。
海外でも多くの国でRPA技術が導入され、業務効率化の一環として活用されています。
しかし、日本独自の業務文化やシステム構造の違いから、導入の方法や活用の仕方には差が見られます。
これらの違いを理解することで、より効果的なRPA導入が可能となります。
RPAの世界的な流行
RPAツールは日本だけでなく、世界的にも注目されています。
ガートナー社の調査によれば、2022年までに世界の大手企業の90%がRPAを採用すると予測されています。2021年には、RPAツールの売上高が前年比19.5%増となり、2024年までには世界のRPA市場が2桁の成長率で拡大すると予想されています。
日本のRPAシェア率
日本のRPAのシェア率は約25%と高く、これが「RPAは日本だけで流行っている」という印象を持たせている要因の一つです。
日本のRPA市場においては、「UiPath」「BizRobo」「WinActor」の3つのRPAツールが高いシェア率を持っています。
日本のRPA導入率の高さの理由
日本のRPAシェア率は世界的に見ても高い水準となっていますが、なぜでしょうか。
日本のRPA導入率の高さの理由として、日本の企業内ではIT知識を持つ社員が限られており、全社的にITリテラシーが低いケースが多いというものがあります。
RPAはIT知識を必要としないため、日本のホワイトカラー就業員に受け入れられています。また、IT導入補助金を利用できることも、RPA導入率を高める要因となっています。
日本と海外の違い
日本と海外の業務に対する考え方や人材の違いがRPAの普及率の違いを生んでいます。日本はITリテラシーが低く、特に非IT関連の職種ではIT知識が乏しいというケースが多いです。
一方、海外では業務がシステム化されており、RPAのようなツールの導入が必要ないケースが多くなっており、普及率に差が出ていると考えられます。
日本のRPA導入率
日本のRPA導入率は年々増加しており、多くの企業がRPAを活用して業務効率化を図っています。
株式会社MM総研の調査結果の記事によると、年商50億円以上の企業のうち、45%がRPAを導入していることを発表しました。
しかし年商50億円未満の企業の導入率は12%となっており、大きく差があることもこの発表から分かります。
日本と海外のRPA導入状況の違い
日本と海外のRPA導入状況には、企業文化や組織の特性により、導入の方法や考え方に違いが見られます。
例えば、海外ではより大規模な導入が進められている一方、日本では中小企業を中心に導入が進められています。
また、導入の目的や期待する効果にも違いが見られるため、国ごとの特性を理解することが重要です。
ここでは、日本と海外のRPA導入に対する考え方の違いについて見ていきましょう。
トップダウンかボトムアップかの違い
日本企業
日本企業の場合、ボトムアップ方式でRPAの導入が進められる傾向があります。日本の企業はいわゆる「替えのきかない人材」を尊重する文化があり、業務内容が属人化しているため、現場ベースでRPAの導入を判断するケースが多いです。
しかし、この方式では企業全体へのRPAの浸透が遅れるリスクがあります。
海外企業
一般的にトップダウン方式でRPAの導入が進められています。
欧米をはじめとする海外の企業では、業務の標準化が重要視されており、経営者が現場の業務を踏まえてRPA導入の意思決定を行うのが一般的です。
組織内の連携についての違い
日本の組織
日本企業の場合、部門ごとの縦割り意識が強いケースが多く、業務で使用するツールやソフトは現場単位での決定が一般的です。
このため、部門をまたいでRPAを活用する事例は少なくなっています。
海外の組織
欧米をはじめとする海外の企業の場合、業務の標準化や組織全体での連携が進んでいるため、RPAの導入や運用がスムーズに行われる傾向があります。
日本企業がRPA導入を成功させるためのポイント
日本企業と海外の企業のRPA導入に対する考え方には異なる点がいくつかありましたが、では日本企業がRPA導入を成功させるにはどのような点に意識を向けるべきでしょうか。
ここでは、日本企業がRPA導入を成功させるために意識するべきポイントをご紹介します。
ポイント①:企業全体での導入を検討する
すでに見てきた通り、海外の企業は組織間でのシステム化が成功していることが多くなっており、逆に日本企業は組織間でのシステム化がうまくいっていないケースが多く見られます。
RPAツールの導入を検討する際は、現場だけの判断ではなく、企業全体での検討が必要となるため、業務改善を進めるための全体的な取り組みが求められるでしょう。
ポイント②:運用管理も部署をまたいで行う
例えば、RPAツールの開発後の運用で部署間の連携が途絶えると、エラーの解決に時間がかかることがあります。その際、RPAで部署間の自動化を行っておけばエラーの解決に要する時間を短縮することができます。
また、RPAは定期的なメンテナンスが必要であり、部署間の連絡をスムーズに取り合いながら運用管理を行うことが重要です。
このように、海外の企業の例で見たように、運用管理を部署をまたいで行うことで、業務効率化の効果が高まります。
まとめ
RPAは日本だけでなく、世界中で注目されている技術です。
日本と海外のRPA導入状況には特有の違いがあり、それを理解することが導入の成功への鍵となります。日本企業がRPA導入を成功させるためには、業務プロセスの整理や継続的な教育が欠かせません。
今後、この技術の進化とともに、業務効率化の一環としての活用がさらに進むことが期待されます。