保険業界は、顧客のニーズに迅速かつ正確に応え、よりパーソナライズされたサービスを提供するために、AI技術の導入を積極的に進めています。
AIは、データ解析の精度向上、業務効率化、新たなサービスの創出など、保険業界に革命をもたらしています。
以下では保険業界でAIを導入するメリットや事例を紹介していきます。
- 保険業界におけるAI導入のメリット
- AI×保険?「インシュアテック」とは
- 保険業界におけるAI導入事例18選!
- 1. AIほけん(NTTドコモ)
- 2. AIによる保険商品レコメンド(第一生命とemol)
- 3. AIキャラクター召喚装置「Gatebox」(損保ジャパン)
- 4. 自動音声応答サービス(SOMPOひまわり生命)
- 5. 補償おすすめ機能(アクサダイレクト)
- 6. ペット保険のAIアドバイザー(保険スクエアbang!)
- 7. スマート医療保険(三井住友海上)
- 8. 住所変更申出受付自動化(オリックス生命)
- 9. AIで保障設計の見直しやレコメンド(第一生命/富士通)
- 10. AIで生保・損保を一括提案(東京海上日動火災/PKSHA)
- 11. 顧客ごとのAI分析で営業員紹介(東京海上日動あんしん生命)
- 12. ドローン撮影画像のAI解析により損害調査(東京海上日動火災/Airobotics)
- 13. 保険金給付金不正請求検知システムの導入(メットライフ生命/シフトテクノロジー)
- 14. AIでの自動車事故の修理見積書の点検の導入(東京海上日動火災/Tractable)
- 15. 異常気象のリスクをAIで予測(三井住友海上火災/Tomorrow)
- 16. AIでの入院リスク算定で生保の加入審査に活用(楽天生命/日立)
- 17. 自動車ローン信用力スコアリングを自動化(三井住友海上火災保険/セカンドサイトアナリティカ)
- 18. 保険のコールセンターで対話要約をAIで(損保ジャパン/ELYZA)
- まとめ
保険業界におけるAI導入のメリット
以下では保険業界でAIを導入するメリットを解説していきます!
保険業界におけるAI導入にメリット①:業務効率の大幅向上
AIの導入により、保険業界は業務効率の大幅な向上を実現しています。
例えば、クレーム処理、ポリシーの管理、顧客サービスなど、多くの業務が自動化され、スピードアップしています。
AIは大量のデータを迅速に処理し、正確な分析を提供する能力を持っています。
これにより、従業員はルーチンワークから解放され、より価値のある業務に集中することが可能になりました。
また、AIの予測分析能力により、リスク管理と評価もより正確かつ効率的に行えるようになっています。
保険業界におけるAI導入にメリット②:カスタマイズされた保険プラン
AI技術の進化により、個々の顧客に合わせたカスタマイズされた保険プランの提供が可能になりました。
AIは顧客のデータを分析し、その人に最適な保険プランを推薦することができます。
これには、顧客の健康状態、ライフスタイル、リスク許容度など、多様な要因が考慮されます。
これにより、顧客は自分にピッタリの保険プランを手に入れることができ、保険会社も顧客満足度の向上とロイヤリティの強化を実現できます。
保険業界におけるAI導入にメリット③:顧客サービスの向上
AIの導入は、保険業界における顧客サービスの質を大幅に向上させています。
AIチャットボットや自動応答システムにより、顧客はいつでも迅速かつ正確なサービスを受けることが可能になりました。
また、AIは顧客の行動や傾向を学習し、パーソナライズされたサービスを提供することができます。
これにより、顧客はよりパーソナルで効率的なサービスを享受でき、保険会社は顧客満足度の向上とビジネスの成長を実現できます。
AI×保険?「インシュアテック」とは
インシュアテックとは、”Insurance”(保険)と”Technology”(技術)を組み合わせた造語で、保険業界における技術革新やデジタルトランスフォーメーションを指します。
インシュアテックは、AI(人工知能)、ビッグデータ、ブロックチェーンなどの先進技術を活用して、保険業界のサービスや業務プロセスを革新し、効率化と最適化を図る動きです。
また従来の保険ビジネスモデルを刷新し、新しいサービスやプロダクトを生み出します。
例えば、ピアツーピア保険、オンデマンド保険など、従来にない柔軟で多様な保険プロダクトが登場しています。
デジタル技術の進化により、顧客はより良いサービスを、保険会社は効率的な業務プロセスと新しいビジネスチャンスを享受できるようになっています。
これからも、インシュアテックの進化により、保険業界は大きく変わっていくでしょう。
保険業界におけるAI導入事例18選!
以下では保険業界におけるAI導入事例を18個紹介していきます。
1. AIほけん(NTTドコモ)
AIほけんは、NTTドコモが提供するAI技術を活用した保険サービスです。
このサービスは、AIを用いて顧客のニーズに合った保険プランを推薦するもので、顧客はスマートフォンやパソコンを通じて簡単に保険に加入することができます。
AIほけんの最大の特徴は、AIが顧客のライフスタイル、健康状態、リスクプロファイルなどを分析し、それに基づいて最適な保険プランを提案する点です。
これにより、顧客は自身に最適な保険を効率的に見つけることができ、保険会社は顧客満足度を向上させることができます。
2. AIによる保険商品レコメンド(第一生命とemol)
第一生命とemolは、AIを活用して保険商品をレコメンドするサービスを提供しています。
emolのAI技術は、顧客のデータを分析して個々のニーズに合った保険商品を推薦するもので、第一生命の保険商品ラインアップを最大限に活用することができます。
このサービスの特徴は、AIが顧客の年齢、性別、健康状態、ライフスタイルなどの情報をもとに、リアルタイムで保険商品をレコメンドする点です。
これにより、顧客は自身のニーズにぴったりの保険商品を簡単に見つけることができ、保険会社は顧客に対するサービスの質を向上させることができます。
3. AIキャラクター召喚装置「Gatebox」(損保ジャパン)
損保ジャパンは、AIキャラクター召喚装置「Gatebox」を活用して、保険サービスの提供を行っています。
Gateboxは、AIキャラクターが居住空間に“召喚”され、ユーザーとコミュニケーションを取ることができるデバイスです。
このデバイスを活用することで、保険会社は顧客とのコミュニケーションをよりパーソナライズし、効果的に行うことができます。
AIキャラクターは、顧客のライフスタイルやニーズに合わせて保険商品を推薦するだけでなく、保険に関する質問にも答えることができます。
これにより、顧客は自宅でリラックスした状態で保険に関する情報を得ることができ、保険会社は顧客満足度を向上させ、新たなビジネスチャンスを掴むことができます。
4. 自動音声応答サービス(SOMPOひまわり生命)
SOMPOひまわり生命は、顧客サービスの向上と効率化を目指して、自動音声応答サービスを導入しています。このサービスは、AI技術を活用して顧客からの電話に自動で応答し、質問に答えるものです。
顧客は、保険に関する疑問や手続きの方法などを電話で直接問い合わせることができ、AIがそれに対して迅速かつ正確に回答します。
これにより、顧客は待ち時間なく情報を得ることができ、企業はオペレーターの労力を削減し、業務効率を向上させることができます。
5. 補償おすすめ機能(アクサダイレクト)
アクサダイレクトは、顧客に最適な保険補償を提案する「補償おすすめ機能」を提供しています。AIが顧客のプロファイルやニーズを分析し、それに基づいて最適な補償プランを自動で提案します。
この機能の導入により、顧客は自身のライフスタイルやリスクに合った補償を簡単に見つけることができます。
また、アクサダイレクトは、このAI機能を通じて顧客のニーズに更に細かく応え、保険サービスの質を向上させています。
6. ペット保険のAIアドバイザー(保険スクエアbang!)
保険スクエアbang!は、ペットオーナー向けに、ペット保険のAIアドバイザーを導入しています。
このAIアドバイザーは、ペットの種類、年齢、健康状態などの情報を基に、最適なペット保険プランを推薦するものです。
ペットオーナーは、AIアドバイザーにペットの情報を入力するだけで、複数の保険会社の中から最適な保険プランを瞬時に見つけることができます。
これにより、ペットオーナーは、ペットに最適な保険を効率的に選ぶことができ、保険スクエアbang!は、顧客満足度の向上と新たな顧客獲得のチャンスを得ることができます。
7. スマート医療保険(三井住友海上)
三井住友海上は、テクノロジーの進化を活用して、スマート医療保険を提供しています。
この保険は、AIとデータ分析を駆使して、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた保険プランを提供するものです。
顧客は、自身の健康状態やライフスタイルに応じて、最適な医療保険を選ぶことができます。
AIは、顧客のデータをリアルタイムで分析し、健康リスクや保険の必要性を評価、それに基づいて最適な保険プランを推薦します。
これにより、顧客は自身にピッタリの保険を手に入れ、より安心して生活を送ることができます。
8. 住所変更申出受付自動化(オリックス生命)
オリックス生命は、顧客サービスの向上を目指し、住所変更の申出受付を自動化するシステムを導入しています。
これにより、顧客はオンラインで簡単に住所変更の手続きを行うことができ、オリックス生命も効率的に顧客情報を更新することが可能になりました。
AI技術を活用して、顧客の入力情報を即時に処理し、エラーや不備をリアルタイムでフィードバック。
これにより、顧客は手続きをスムーズに完了させることができ、企業もオペレーターの作業負荷を軽減し、他の重要な業務にリソースを集中させることができます。
9. AIで保障設計の見直しやレコメンド(第一生命/富士通)
第一生命と富士通は、AIを活用して保障設計の見直しやレコメンドを行うシステムを開発しています。
このシステムは、顧客のライフステージやニーズに応じて、保障内容を最適化し、新たな保険プランを推薦するものです。
顧客は、自身のライフイベントや健康状態などの変化に応じて、保険プランを柔軟に見直すことができます。
AIは、顧客のデータを分析し、最適な保障設計を提案。これにより、顧客は常に最適な保障を受けることができ、第一生命も顧客満足度の向上と長期的な関係の構築を実現しています。
10. AIで生保・損保を一括提案(東京海上日動火災/PKSHA)
東京海上日動火災は、PKSHAと提携し、AIを活用して生命保険と損害保険の一括提案を実現しています。
このシステムは、顧客のライフステージ、ニーズ、リスクプロファイルをAIで分析し、それに最適な生命保険と損害保険のプランを一度に提案するものです。
これにより、顧客は自身の状況に最適な保険プランを効率的に選ぶことができ、保険会社もクロスセルの機会を増やすことができます。
AIの精度の高い分析と提案により、顧客満足度の向上と保険契約の拡大が期待されています。
11. 顧客ごとのAI分析で営業員紹介(東京海上日動あんしん生命)
東京海上日動あんしん生命は、AIを活用して顧客ごとの分析を行い、それに基づいて最適な営業員を紹介するサービスを提供しています。
AIは、顧客のプロファイル、ニーズ、保険契約の履歴などを分析し、それに最適な営業員をマッチングします。
これにより、顧客は自身のニーズに合った営業員と直接コンタクトを取ることができ、営業員も効率的に顧客にアプローチすることができます。
これにより、顧客と営業員のマッチングの精度が向上し、保険契約の質と量の拡大が期待されています。
12. ドローン撮影画像のAI解析により損害調査(東京海上日動火災/Airobotics)
東京海上日動火災は、Airoboticsと提携し、ドローン撮影画像のAI解析による損害調査を実施しています。
ドローンは、災害現場などでの損害の撮影を効率的に行い、AIはその画像をリアルタイムで解析して損害の詳細と評価を行います。
これにより、損害調査のスピードと精度が大幅に向上し、保険金の支払いも迅速化します。
また、ドローンとAIの活用により、危険な現場での人手による調査のリスクも軽減され、より安全かつ効率的な損害調査が実現しています。
13. 保険金給付金不正請求検知システムの導入(メットライフ生命/シフトテクノロジー)
メットライフ生命保険は、フランスのスタートアップ、シフトテクノロジーと提携し、AIを活用した保険金給付金の不正請求検知システム「Force」を導入しました。
このシステムは、過去の膨大なデータを学習し、不正の可能性がある請求を高精度で検知する能力を持っています。
これにより、保険金の請求処理がより正確かつ迅速に行われ、査定者は複雑な請求に集中することができるようになりました。これは、顧客の保護と査定業務の効率化に貢献しています。
14. AIでの自動車事故の修理見積書の点検の導入(東京海上日動火災/Tractable)
東京海上日動火災保険は、英国のTractableと提携し、AIを活用した自動車事故の修理見積書の点検を行うトライアルを開始しました。
TractableのAIは、修理工場から提出された車の損傷画像を学習し、損傷箇所や程度を正確に確認し、最適な修理方法や修理に要する時間を算出します。
このAIの導入により、修理費用の早期確定と迅速な保険金の支払いが可能となり、顧客サービスの向上が期待されています。
15. 異常気象のリスクをAIで予測(三井住友海上火災/Tomorrow)
三井住友海上火災保険は、米国スタートアップのThe Tomorrow Companiesと共同で、AIを活用した異常気象のリスク予測サービスを開発しています。
このサービスは、人工衛星で豪雨や落雷などの気象リスクを最大4日前から予測し、浸水被害などを防ぐ減災の助言を提供します。
これにより、企業や自治体は、気象リスクに対する対策を早期に講じることができ、災害による損害の軽減が期待されています。
また、保険会社もリスクの予測精度が向上し、より適切な保険プランの提供やリスクマネジメントが可能となります。
16. AIでの入院リスク算定で生保の加入審査に活用(楽天生命/日立)
楽天生命保険は、日立製作所が提供する「Risk Simulator for Insurance」を導入し、保険の加入審査においてAIを活用した入院リスクの算定を行っています。
このシステムは、保険希望者の健康データを基に、将来の入院リスクを精確に予測する能力を持っています。
約230の項目をもとに、8大生活習慣病による入院発生確率と入院日数の期待値を算出し、それに基づいて保険の引き受けの可否を決定します。
これにより、査定業務の効率化と精度向上が実現し、顧客へのサービス向上が期待されています。
17. 自動車ローン信用力スコアリングを自動化(三井住友海上火災保険/セカンドサイトアナリティカ)
三井住友海上火災保険は、セカンドサイトアナリティカと共同で、AIを活用した自動車ローンの信用力スコアリングサービスを開発しました。
これにより、自動車購入者の信用評価が迅速かつ正確に行われ、ローンの審査時間が大幅に短縮されます。
特に、サブスクリプションサービスやフリーランスなど、従来の審査が困難だったケースでも、AIの精確な分析により適切な信用評価が可能となり、より多くの顧客が自動車ローンを利用できるようになると期待されています。
18. 保険のコールセンターで対話要約をAIで(損保ジャパン/ELYZA)
損害保険ジャパンは、AIスタートアップのELYZAと提携し、カスタマーセンターでの通話内容をAIで要約し、関係部署に連携する生成型要約モデルの実証実験を行っています。
このAIは、文脈を理解し文章を一から生成する能力を持っており、音声認識の精度が低くても利用可能です。
これにより、オペレーターは通話の終了直後に要約内容を確認でき、顧客への迅速な対応が可能となります。これは、コールセンターの業務効率化と顧客サービスの向上に大いに貢献すると期待されています。
まとめ
AIの導入は、保険業界においても止まることなく進行しています。
これにより、顧客はよりパーソナライズされたサービスを受け、保険会社は業務効率とサービス品質を向上させることができます。
今後もAIと保険業界の融合は進み、未来の保険サービスがどのように変わっていくのか、その動向に注目が集まるでしょう。