プロンプトエンジニアは本当にいらない？これから生き残るための3つのスキルも解説！

「プロンプトエンジニアはもういらないって本当？」「AIが進化したら仕事がなくなるんじゃないか」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか？

結論として、AIの進化によってプロンプトエンジニアの役割は変化していますが、AIを最大限に活用するためには依然として重要な職種です。単純な作業はAIに代替される一方で、より高度で専門的なスキルを持つ人材の価値は高まっています。

この記事では、プロンプトエンジニアがいらないと言われる理由と、それでも必要とされる理由、今後AI時代で生き残るために必要なスキルについて詳しく解説していきます。

この記事を読めば、プロンプトエンジニアの現状と将来性を正しく理解し、自身の市場価値を高めるために何をすべきかが明確になるはずです！

監修者プロフィール

森下浩志

日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

プロンプトエンジニアがいらないと言われる4つの理由

AI技術が目覚ましく発展する中で、「プロンプトエンジニアは不要になる」という声も聞かれるようになりました。なぜそのように言われるのでしょうか。

ここでは、プロンプトエンジニアがいらないと言われる主な4つの理由について解説します。

AIの進化により細かい指示が必要なくなったため

プロンプトエンジニアが不要と言われる大きな理由の1つが、AIそのものの進化です。

最新の生成AIは非常に賢くなっており、人間からの指示が多少曖昧であったり、スペルミスがあったりしても、文脈から意図を正確に汲み取れるようになっています。

さらに、AI自身がユーザーの意図をより深く理解するために以下のような機能も登場しています。

これにより、今までのように人間が細かく指示を調整しなくても、AIに任せるだけで十分なアウトプットが得られるケースが増え、専門的なプロンプト設計の必要性が低下しているのです。

誰でも簡単にAIを操作できるようになったため

AIを操作するためのハードルが劇的に下がった点も、プロンプトエンジニア不要論の一因です。

最近のAIツールには、以下のような機能が充実しており、専門知識がない人でも直感的にAIを使いこなせる環境が整いつつあります。

また、企業が全社員を対象にAIリテラシー研修を実施する動きも活発化しており、組織全体で基本的なプロンプト作成スキルを底上げしようという流れが生まれています。

これにより、専門職としてのプロンプトエンジニアを雇う必要性が薄れていると考える企業も増加傾向なのです。

マルチモーダル入力でAIと自然に対話できるようになったため

AIとの対話方法がテキスト入力だけではなくなった点も大きな変化です。

現在、多くのAIが以下のような様々な形式の情報を認識できる「マルチモーダル入力」に対応しています。

例えば、スマートフォンのカメラで写したものの名前を尋ねたり、音声で質問したりすることが当たり前になりました。

このように、まるで人間と会話するように自然なやり取りでAIを操作できるようになりました。そのため、テキストで緻密な指示を与える「プロンプト」という概念そのものの重要性が相対的に低下しているのです。

プロンプトの技術が特別なスキルではなくなったため

プロンプトエンジニアリングの技術が一般化しつつあるという見方もあります。

ソフトウェア開発者やデータサイエンティストといった他のIT専門職と比較して、プロンプトエンジニアに求められるスキルは相対的に低いと見なされることがあります。

そのため、既存の社員に研修を行えば十分対応可能であり、わざわざ外部から専門職として採用するメリットが薄いと判断されるケースも少なくありません。

また、AI技術の発展により、プロンプトエンジニアが行っていた高度な調整がAIによって自動化されつつあることも、この流れを加速させています。

プロンプトエンジニアが必要な4つの理由

「プロンプトエンジニアは不要」という意見がある一方で、その重要性はむしろ高まっているという見方も根強くあります。AIをビジネスへ活用するためには、専門的な知見が不可欠だからです。

ここでは、プロンプトエンジニアが必要とされる4つの理由を解説します。

AIを最大限活用するためにはプロンプト設計が欠かせないため

生成AIは多くの企業で導入が進んでいますが、ただツールとして導入するだけでは期待した成果を得られないケースが少なくありません。

AIから質の高いアウトプットを引き出し、それを実際の業務に最適化された形で組み込むためには、依然としてプロンプトエンジニアの専門知識が必要不可欠です。

こうした課題を解決し、AI導入の効果を最大化する上で、プロンプトエンジニアの役割は非常に重要です。

AIの自律性が高まっても細かな調整は人間が担う必要があるため

AIが自律的にタスクを実行する「AIエージェント」のような技術が進化しても、人間の役割が完全になくなるわけではありません。

AIは与えられた指示を忠実に実行するのは得意ですが、以下のような高度な内容は苦手であり、依然として人の手が必要です。

例えば、「クレームメールに対し、丁寧かつ共感的に、しかし会社の規定内で返信する」といった複雑なタスクがあります。

この場合、AIの生成案をプロンプトエンジニアが細かく調整し、監督するという進め方が欠かせません。AIの自律性が高まるほど、その動きを正しく導き、管理する人間の専門スキルが求められるのです。

AIの需要に対して人材が不足しているため

現在、多くの企業が生成AIの本格的な導入・活用へと舵を切っており、AI関連のスキルを持つ人材への需要が急激に高まっています。

しかし、その需要に対して専門知識を持つAI人材の数はまだまだ追いついていないのが現状です。この需要と供給のギャップにより、プロンプトエンジニアの市場価値は相対的に高まっています。

AI技術が今後さらに社会に浸透していくと考えられるため、AIを的確に操作し、ビジネス価値に繋げられるプロンプトエンジニアの需要は、ますます増加していくと予想されます。

AIを使いこなすことで新しいビジネスや価値を生み出せるため

AI時代のビジネスでは求められる能力が変わります。

単に知識が豊富で専門性が高いだけでなく、AIをうまく活用して新しい価値を生み出す能力がより重視されます。

AIを単なる作業効率化ツールとして捉えるのではなく、人間の創造性や感性を拡張するための「パートナー」として使いこなすのが重要です。そのために必須となるのが、AIとの対話術である「プロンプトエンジニアリング」のスキルなのです。

優れたプロンプトエンジニアは、AIの潜在能力を引き出し、新たなサービスやビジネスモデルを作り出すキーパーソンとなり得ます。

プロンプトエンジニアがAI時代で生き残るための3つのスキル

プロンプトエンジニアが今後も価値を発揮し、AI時代を生き残るためには、役割の変化に対応し、新たなスキルを習得していく必要があります。ここでは、特に重要となる3つのスキルを紹介します。

AIや自然言語処理（NLP）の知識

質の高いプロンプトを作成するためには、その対話相手であるAIについて深く理解している必要があります。

生成AIや機械学習の基本的な仕組みはもちろん、GPTシリーズ、Gemini、Claudeといった各AIモデルが持つ特徴や、得意・不得意な分野を把握しておくのが重要です。これにより、目的に応じて最適なモデルを選択し、その能力を最大限に引き出すプロンプトを設計できます。

また、ハルシネーションや、個人情報・機密情報の漏洩といったAI利用に伴うリスクや注意点を理解し、安全に活用するための知識も欠かせません。

AI技術の進化は驚くべきスピードで進んでいます。そのため、常に最新の論文や技術ニュースにアンテナを張り、自身の知識をアップデートし続ける姿勢が、プロンプトエンジニアとして活躍し続けるための鍵となります。

論理的思考にもとづいた言語化力

プロンプトエンジニアの核となるスキルは、物事を構造的に捉え、的確な言葉で表現する能力です。

顧客やチームメンバーからの「こんな感じの文章を作ってほしい」といった抽象的な要望を、誰が聞いても誤解の余地がない具体的な指示（プロンプト）に変換する力が求められます。

また、作成したプロンプトの意図や、出力結果がなぜうまくいかなかったのか、その改善策などを、エンジニアではない人にも分かりやすく説明するコミュニケーション能力も重要です。

プログラミングやAIツールの活用スキル

プロンプトエンジニアリングの業務は、チャット画面で対話するだけにとどまりません。

特にPythonなどのプログラミング言語を扱えるのは、自身の業務の幅を広げ、市場価値を高める上で強力な武器になります。

例えば、OpenAIやGoogle AIなどが提供するAPI（Application Programming Interface）を活用すれば、以下のようなことが可能になります。

このように、プログラミングスキルを身につけると、単なるAIの「使い手」から、AIを活用して課題解決や価値を作るのを主導する「開発者・設計者」へとステップアップできます。

プロンプトエンジニアは必要！スキルを身につけて生き残ろう！

いかがでしたでしょうか？

プロンプトエンジニアがいらないと言われる理由から、依然として必要とされる理由、そして今後生き残るために必要なスキルまで詳しく解説しました！

この記事の内容をまとめると次のようになります。

AIの進化によってプロンプトエンジニアの役割は変化しますが、決して不要になるわけではありません。ぜひ、この記事で紹介したスキルを身につけて、AI時代に欠かせない人材を目指しましょう！