医療業務の自動化!医療機関におけるRPAの役割・メリット・導入事例を解説 | romptn Magazine

医療業務の自動化!医療機関におけるRPAの役割・メリット・導入事例を解説

AI活用

医療業界における事務作業の効率化は、今や避けて通れない課題となっています。

RPA技術の導入により、どのように医療事務が変わるのでしょうか?

本記事では、RPAの役割、メリット、そして具体的な導入事例を通して、その可能性を探ります。

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RPAとは

RPAは「Robotic Process Automation」の略で、繰り返しの業務を自動化する技術を指します。これにより、人間が行っていた繰り返しの単純作業をソフトウェアロボットが代わりに実行することで、業務の効率化やミスの削減を実現します。

RPAは、特定のタスクを自動化するためのスクリプトやツールを使用することなく、既存のITシステムと連携して動作します。そのため、システムの大規模な変更や導入コストを抑えつつ、迅速に業務の自動化を進めることが可能です。

特に、データの入力や転送、レポートの生成などの定型的な業務において、RPAの効果を最大限に発揮することができます。

医療業界でRPAが必要とされる理由5選

医療業界は常に多忙で、医療事務の業務も増え続けています。
RPAを導入することで、業務の効率化やミスの削減が期待できます。

ここでは、医療業界でRPAが必要とされる理由を5つ見ていきましょう。

理由詳細
医師・看護師の不足近年、医療現場において医師や看護師が不足しています。特に女性看護師の離職率が高い傾向があり、RPAを活用すれば、繰り返し業務を自動化し、医療スタッフの時間を節約することができます。
医療・介護需要の拡大高齢化の影響により、医療や介護の需要は拡大しています。RPAの導入による自動化が積極的に行われています。
慢性的な長時間労働2024年の4月から時間外労働時間の規制が始まり、医師・看護師の不足や医療・介護需要の拡大を考えると、RPAの導入が注目されています。
DX推進医療現場でもデジタル化による業務効率化が求められており、RPAでの自動化が期待されています。
感染症流行による経営悪化感染症の流行によって外来患者や入院患者が減少し、経営が悪化した病院は多い。RPAの導入により、業務負担の軽減や医療の質の向上が期待されています。

医療業界でRPAの導入対象となる業務5選

医療業界でのRPAの導入対象となる業務は数多くあります。

ここでは、医療業界でRPAの導入対象となる業務の例を5つほど見ていきましょう。

業務カテゴリ導入対象となる業務
総務・人事業務・共済・扶養関係書類の自動チェックおよび自動データ登録
・部門別超過勤務時間の自動集計・作成
・給与日に財務会計システムからデータを自動抽出し人件費を計算、所定フォルダーに保存
経理業務・業者から新規マスターデータを受け取り、院内物流システムの新規マスタへの自動登録
・財務会計システムからCSVデータを抽出して、収支簿の自動作成
医事業務・月次、年次での患者統計の自動作成
・手術件数の自動抽出
・未収金データの自動消込み
薬剤部業務・医薬品情報に関するWeb情報収集・データ自動転記
・医薬品の発注オーダー、即卸し対応の自動処理
・レセプトのチェック、データ自動転記
経営管理業務・財務会計システムからCSVデータを抽出して、収支簿の自動作成
・自動で発注書作成、検収時の自動チェック、CSV請求書の自動取り込み

医療業界におけるRPA導入のメリット

RPAを医療業界に導入することのメリットは多岐にわたります。
ここでは医療業界におけるRPA導入のメリットを3つ見ていきます。

メリット詳細
人手不足の解消RPAで定型的な業務を代替することで1人当たりの事務作業量が減少し、人でないとできない業務に時間を使えるようになります。繰り返しの多い事務作業やデータの入力業務は、RPAへの置き換えが有効です。
RPAによる業務の代行により、コミュニケーションや専門的な知識が必要な「人が行うべき仕事」に人員を割り振れることができます。
人材の有効活用RPAで問診表の作成や院外処方箋の受付など、事務の一部を代替が可能です。
繰り返しの多い定型業務や事務作業をRPAで代替することで、人は人にしか行えない業務に注力することができます。
よって、RPAを取り入れることは専門性のある人材の有効活用に繋がると言えます。
ミス防止RPAを導入することで、人為的なミスを防止ができます。
医療に関わる事務作業では、ミスの防止は重要な課題であり、データの入力業務などの単純作業の繰り返しでは、入力ミスや見落としなどのヒューマンエラーが起こる可能性が考えられます。
しかし、RPAによる置き換えを行うと機械が作業を行うため、ミスの発生を防止することができるのです。

医療業界におけるRPA導入の際の注意点

医療業界におけるRPA導入の必要性やメリットについて見てきましたが、RPA導入にあたって注意点も存在します。

ここでは、医療業界におけるRPA導入の際の注意点について3つ見ていきましょう。

注意点詳細
導入作業の負担RPAは、作業工程を明確にした上で設計しなければ正しく動作せず、曖昧な工程や個人差のある判断基準を統一する必要があります。
RPAの導入にはマニュアルの作成や評価指標の設定が必要な場合があります。
業務ストップするリスクRPAを運用していると、エラーが生じるケースがあります。RPAの操作に習熟している社員がいなければ、迅速な改善対応は難しいでしょう。トラブル発生時の対応や、担当する人員を決定してから導入する必要があります。
RPA担当者の属人化RPAは一度運用を開始すると全ての作業を自動で行うため「どのような操作を実行しているのか」担当者以外には分からない可能性があります。実行内容が分からなければ、エラーが発生した際の対応は困難です。
RPAの運用が属人化していると、業務内容の変更に対応できない可能性があります。

医療機関における実際のRPAの導入事例

最近では、多くの医療機関RPAの導入事例が報告されています。

ここではRPA導入が行われた実際の医療機関名と導入による効果を2つ見ていきましょう。

RPAの導入事例①:名古屋大学医学部付属病院

名古屋大学医学部附属病院は、医療業界の過重労働と人手不足の問題を解決するために、2019年5月にRPAツールを全事務部門で導入しました。

以前は医師の勤務時間を手作業で計算していたが、RPAの導入により年間160時間の効率化が実現しました。21体のロボットが作成され、全事務部門での業務削減時間は約9,800時間となり、事務職員はより価値の高い業務に注力できるようになる見込みです。

RPAの導入事例②:東京歯科大学市川総合病院

東京歯科大学の附属病院である市川総合病院は570床の総合病院です。

2018年11月に、経営課題の解決や医師の働き方改革を目的として、RPA製品のトライアル導入を開始しました。トライアル期間中には、ロボットの試作開発やヒアリングが行われ、最終的に医事課、放射線科、診療情報チームの業務がRPAの適用対象となりました。特に放射線科の「造影剤CT・MRI検査前のeGFRチェック」業務は、RPA導入により1時間の作業時間が削減され、放射線技師が本来の業務に専念できるようになりました。

現在、同院では9体のロボットが稼働し、様々な業務を自動化しています。

まとめ

医療機関における業務は複雑で多岐にわたりますが、RPAの導入により多くの事務作業が効率化されています。特に、例に挙げたような先進的な医療機関では、RPAを活用して年間数千時間以上の業務削減を実現しています。

RPAのメリットとしては、手作業によるミスの削減、業務の迅速化、そして医療従事者が本来の業務に専念できる時間の確保が挙げられます。これにより、医療の質の向上や患者サービスの充実が期待されます。

一方、導入にあたっては、適切な業務選定やRPAツールの選択、そしてスタッフの研修などが必要となります。しかし、その労力をかける価値は十分にあると言えるでしょう。

今後、さらなる技術の進化とともに、医療機関におけるRPAの活用範囲は拡大していくことが予想されます。医療業界全体として、この動きを注視し、最新の技術を取り入れることで、より高度な医療サービスの提供を目指すべきであると言えます。

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