2024年8月19日、ドナルド・トランプ前米大統領が自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」に、人工知能（AI）で生成されたと思われる一連の画像を投稿し、世界的に人気のポップスター、テイラー・スウィフトが彼の大統領選挙キャンペーンを支持しているかのように示唆して物議を醸しています。
トランプ氏の投稿の詳細
Donald J. Trump (@realDonaldTrump)
I accept!
truthsocial.com
トランプ氏が共有した画像には以下のようなものが含まれていました。
- 「Swifties For Trump」（スウィフトのファンを指す「Swifties」とトランプ支持を組み合わせた造語）Tシャツを着た若い女性たちの群衆
- テイラー・スウィフトをアメリカの象徴的キャラクター「アンクル・サム」に模した画像。「テイラーはドナルド・トランプに投票してほしい」というキャプション付き
- ウィーンでのテイラー・スウィフトのコンサートがテロ計画阻止により中止になったことで、ファンがトランプ支持に回ったという風刺的なニュース記事の画像
トランプ氏はこれらの画像に「I accept!(受け入れます！)」というコメントを添えて投稿しました。
問題の事実確認
重要な点として、テイラー・スウィフトは2024年の大統領選挙では現時点でいかなる候補者も支持表明していません。
過去の経緯を見ると、
- 2020年の大統領選挙では、テイラー・スウィフトはジョー・バイデン氏とカマラ・ハリス氏を公に支持しました。
- 2020年のジョージ・フロイド殺害事件後、テイラー・スウィフトはトランプ大統領（当時）の対応を強く批判しています。
法的・倫理的問題
この投稿は、選挙に関連するAI生成コンテンツの使用について、いくつかの重要な問題を提起しています。
- ディープフェイク規制: 一部の州ではAI生成の選挙関連ディープフェイクを禁止していますが、トランプ氏の投稿が誇張的な性質であるため、これらの法律に抵触しない可能性があります。
- パブリシティ権: 法律の専門家は、テイラー・スウィフトがカリフォルニア州のパブリシティ権法に基づいて訴訟を起こす可能性があると指摘しています。
- プラットフォームの責任: 連邦レベルでのAIディープフェイク規制は複雑であり、TwitterやFacebookなどの民間プラットフォームが誤解を招くコンテンツへの対処で重要な役割を果たす可能性があります。
政治的影響
この出来事は、2024年の大統領選挙に向けて、AIが生成したコンテンツが政治キャンペーンにどのような影響を与えるかという、より広範な議論を引き起こしています。
特に、以下のような政治的影響が考えられます。
- 有権者の混乱を招く可能性
- 選挙の公正性への脅威
- 政治家によるAI技術の悪用の可能性
今後の展開
この事態を受けて、以下のような動きが予想されます。
- テイラー・スウィフト陣営からの公式声明
- 選挙管理委員会やソーシャルメディアプラットフォームによる対応
- AI生成コンテンツの選挙利用に関する法的規制の議論の活発化
この事件は、デジタル時代の選挙キャンペーンにおける真実性と倫理の重要性を浮き彫りにしており、今後も注目が集まることが予想されます。
