建設業界でのAI活用事例を紹介!建築デザインもAIで生成する? | romptn Magazine

建設業界でのAI活用事例を紹介!人材不足の解決にAIは役立てるのか?

AI×業界

建設業界は、労働集約型の産業であり、人手不足という問題に直面しています。

少子高齢化、労働環境の厳しさ、技能労働者の不足など、多くの課題がこの産業には存在します。

しかし、近年のAI技術の進歩は、これらの課題の解決の一助となる可能性を秘めています。

AIは、労働力の不足を補完し、作業の効率化と安全性の向上に貢献する手段として注目されています。

それを踏まえ以下では建設業界におけるAI活用について解説していきます。

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建設業界における課題は?

建設業界におけるAI活用事例を見ていく前にまずは業界における課題を解説していきます。

1. 人手不足

建設業界における課題の一つ目は、人手不足である点です。

人手不足であるために、以下のような問題が生じています。

  • 建設業の労働力人口は他の業界よりも減少率が高い。
  • 高齢化が進行しており、若い労働力の確保が急務。
  • 労働集約的な業界であるため、人手不足はプロジェクトの進行に直接影響を与える。

2. 労働環境

建設業界における課題の二つ目は、労働環境です。

労働環境に関して、多くの企業では以下のような問題点が考えられます。

  • 給与面での不満や、キャリアパスの不明確さが、労働者のモチベーションを低下させている。
  • 長時間労働と過酷な労働条件が、労働者の健康と安全を脅かしている。
  • 労働者のスキルと経験を十分に評価し、報酬する仕組みが不足している。

待遇面の課題としては、特に週休2日制の推進、仕事の安定性、給与面などが主となっています。

AIは建設業界の課題を解決できる?

結論として、AIは建設業界の人手不足や労働環境の改善に貢献できます

例えば、AI搭載のロボットやドローンは危険な作業を自動化することで、労働力の不足を緩和する可能性があります。

また、AIは労働条件とスケジュールを最適化することにより、作業員の安全確保や健康維持にも大いに役立つほか、プロジェクト管理とコスト削減といった面でも、AIはリソースの割り当て、スケジューリング、品質管理の効率化といった点で非常に有用と言えます。

ただし、これらの利益を最大化するためには、適切な戦略と規制が必要となります。

建設業界AIの活用事例6選!

実際に建設業界でAIを活用している企業を見ていきましょう。

ここでは、実際の建設業界におけるAI活用事例を紹介していきます。

建設業界AIの活用事例①:ドローンとAIを活用した外壁調査によるコスト削減(アトモスももち)

参考:ドローン撮影の赤外線画像から、AIが建物の外壁タイルの浮きを自動判定するシステム「スマートタイルセイバー」を開発し実用化
導入企業名積水ハウス(現:アトモスももち管理組合)
事業内容不動産管理
従業員数
AI導入前の課題打診等、人間による外壁調査のための仮説足場設置等のコストがかかっていた。
AI導入成果AIによる自動判定が可能となったため、コストの削減が実現。
参考:ドローン撮影の赤外線画像から、AIが建物の外壁タイルの浮きを自動判定するシステム「スマートタイルセイバー」を開発し実用化

竹中工務店は、建築基準法に基づく高層建物の外壁調査の必要性から、ドローンを使用した赤外線画像撮影とAIによる外壁タイルの浮き自動判定システム「スマートタイルセイバー」を開発しました。

このシステムは、人手による調査の手間や高所作業のリスクを減らし、仮設足場の設置などのコストを削減できます。

2021年3月には、福岡県の高層マンションで初適用され、デジタル技術を活用した高精度・高品質な調査、省人化、調査期間の短縮を実現しました。

建設業界AIの活用事例②:AI・IoT技術の活用により一人ひとりに最適な環境を提供(大林新星和不動産株式会社)

参考:IoT・AIを活用したスマートビルマネジメントシステム「WellnessBOX®」を東京都内のテナントオフィスビルに国内初適用
導入企業名大林新星和不動産株式会社
事業内容ビル賃貸事業、プロパティマネジメント事業、マンション・戸建分譲、賃貸事業、損害保険・生命保険等の保険事業
従業員数198名
AI導入前の課題オフィスの快適性向上や健康への配慮がより一層求められていた。
AI導入成果建物内外の多様な情報や利用者ごとの情報、建物利用者の位置情報などを集約することで、利用者一人ひとりへの最適な環境の提供が可能となったほか、遠隔地からの設定調整も可能となったため管理者の負担軽減にもつながった。
参考:大林新星和不動産株式会社

大林組が開発した「WellnessBOX」は、働く人の快適性や健康を考慮したスマートビルマネジメントシステムで、生産年齢人口の減少や働き方改革の推進を背景に導入されました。

このシステムはIoT技術を活用して建物内外の情報や利用者の快適さに関する情報を集約し、AIを用いて最適な環境提供と省エネルギーを実現しています。

実証運用により、快適性向上やエネルギー消費量の約5%削減が確認され、建物利用者への負担軽減も達成しています。

建設業界AIの活用事例③:現場の工程進捗に関するリアルタイムなデータの収集・可視化(清水建設)

参考:現場ファーストなDXの土台となるダッシュボードを構築
導入企業名清水建設株式会社
事業内容建築・土木等建設工事の請負(総合建設業)
従業員数単体:10,845人(2023年3月31日現在)
AI導入前の課題建設業界における人材不足・プロジェクト大型化に伴う工程管理の複雑化
AI導入成果工程の進捗に影響する現場データをリアルタイムに収集・可視化できるようになり、迅速な組織的フォローが可能となった。
参考:清水建設株式会社

清水建設は、建設業界における人手不足やプロジェクトの超大型化に伴う工程管理の複雑化という課題に直面しており、これを解決するために現場ダッシュボードの構築に着手しました。

ツール導入前は、多くの現場からExcel管理表やCSVファイルを収集する必要があり、手間と時間がかかっていました。

しかし、MotionBoardとDr.Sumの導入により、工程遅延に影響するデータをリアルタイムに収集・可視化することが可能になり、迅速な組織的フォローが実現しました。

これにより、データ活用ノウハウを組織的に共有し、全社DXに向けて大きく前進しています。

建設業界AIの活用事例④:AIを活用した自律走行搬送ロボットシステムを開発(大成建設)

参考:自律走行搬送ロボットシステム「T-DriveX」を開発

大成建設は、建設現場特有の課題に対応するため、自律走行搬送ロボットシステム「T-DriveX」を開発しました。

建設業界では、高齢化社会による労働力の確保と長時間労働の改善が必要とされており、従来の搬送システムでは、資材の位置や種別の自動判別ができないなどの課題がありました。

しかし、この新システムはAIによる画像解析とマッピング技術を活用することで、これらの課題を克服し、資材搬送の省人化と効率化を実現しています。

具体的には、フォークリフト型ロボットの実証実験により、その実用性が確認されました。

建設業界AIの活用事例⑤:厚生労働省のデータをもとに労働災害を削減(株式会社UNAIIT)

参考:K-SAFE

K-SAFEは、建設現場での労働災害を減らす目的で導入されました。

厚生労働省のデータ(約69,000件)を活用し、未構造化テキストから災害発生状況を解析することで、労働災害を多面的に捉えることが可能になります。

このツールは、予定された作業内容に基づき、類似作業で発生した災害をAIが探索・分析し、リスクを発生頻度や事故の重大度に応じて警告します。

これにより、作業前の危険予知(KY)活動が高度化し、建設現場の安全性の向上が期待されています。

建設業界AIの活用事例⑥:建設機械搭載型AIによる建設現場の安全性向上(大成建設)

引用:大成建設

大成建設は、建設現場の安全性向上を目的に、「T-iFinder」という建設機械搭載型AIを用いた人体検知システムを開発しました。

導入を考える背景には、従来の人体検知技術の限界と、視界が悪い状況下での人体検知の困難さがありました。

このシステムは、施工環境に応じた高精度な人体検知を可能にし、実証実験では延べ3,000時間の使用を通じてその効果が確認されました。

この技術により、建設機械の無人化・自動化を進める中で、人と建設機械の接触事故を防ぎ、より安全な作業環境を実現しています​。

まとめ

建設業界でのAIの活用は、人材不足の解決に大いに役立っています。

AI技術は、労働者の安全を確保し、作業の効率を向上させるだけでなく、高度な技能を持たない労働者でも作業を遂行できるように支援しています。

これらの事例から、AIは建設業界の未来を切り開く重要な技術であり、その活用が進めば進むほど、人材不足という課題も緩和されるであろうという期待が寄せられていくでしょう。