英国のAIスタートアップRecraftは10月30日、最新の画像生成AI「Recraft V3」を発表した。業界標準のベンチマークテストで最高得点を記録し、画像生成AI市場に新たな革新をもたらしている。
圧倒的な性能で競合を上回る
Recraft V3は、HuggingFaceが実施する業界標準のベンチマークテスト(TEXT TO IMAGE MODEL LEADERBOARD)において、ELOレーティング1172点という驚異的なスコアを達成。MidjourneyやBlack Forest Labsなど、既存の主要プレイヤーを上回る結果となった。
このベンチマークテストでは、画像品質、生成時間、解像度など、複数の観点から総合的な評価が行われる。特に画像の解像度と品質の面で、Recraft V3は他社を大きく引き離す結果を示した。
革新的な技術的特徴
Recraft V3の最大の特徴は、これまでのAIモデルでは実現できなかった長文テキストの画像生成能力だ。従来の画像生成AIでは1〜2語程度の短いテキストしか扱えなかったが、Recraft V3では複雑な文章の画像化が可能となった。
また、AI生成画像特有の解剖学的な不自然さも解消されている。指の本数や体の比率が正確で、背景との空間的な整合性も保たれているという。
デザイナー向け機能の充実
プロフェッショナル向けの機能も充実している。特筆すべきは業界初となるベクターグラフィックス対応だ。SVG形式での出力に対応し、解像度に依存しない高品質な画像生成を実現している。
プラン | 月額料金(年払い) | 月額料金(月払い) | 月間クレジット数 |
---|---|---|---|
無料プラン | 無料 | 無料 | 50/日 |
ベーシックプラン | 10ドル | 12ドル | 1,000 |
アドバンストプラン | 27ドル | 33ドル | 4,000 |
プロプラン | 48ドル | 60ドル | 8,400 |
商用利用については、無料プランでは制限があるものの、ベーシックプラン以上では生成した画像の完全な権利が付与される。
Recraftについて
Recraftは2022年、機械学習ライブラリ「CatBoost」の開発者として知られるAnna Veronika Dorogush氏が設立。AdobeやCanvaといった既存の大手とは異なるアプローチで、独自の基盤モデル開発を進めている。
SVG、PNG、JPG、LOTTIEなど幅広いファイル形式に対応し、特にベクターアート生成における高い精度で業界の注目を集めている。
今後の展望
Recraft V3の登場により、画像生成AI市場は新たな段階に突入したと言える。特に長文テキストの画像化や解剖学的な正確性の実現は、これまでの技術的限界を打ち破るものだ。今後、デザイン業界のワークフローに大きな変革をもたらす可能性がある。