Googleは、カリフォルニア州と2億5000万ドルの契約を締結し、地元のニュース編集室を支援することを発表しました。この5年間の契約は、テクノロジー企業にニュースコンテンツへの支払いを強制する可能性のある法案を回避することを目指しています。
契約の概要
- ニュース・トランスフォーメーション・ファンド:カリフォルニアを拠点とするニュースルームを支援
- 国家AIイノベーション・アクセラレーター:AIの実験を目的としたプログラム
資金の内訳は、以下の通りです。
- Google:1億1000万ドル
- カリフォルニア州納税者:7000万ドル
- その他の民間資金源:7000万ドル(予定)
賛同と批判が飛び交う
この契約は、ジャーナリズムを活性化させる可能性があるとして賞賛されていますが、同時に批判の声も上がっています。
■支持者の意見
- ギャビン・ニューサム知事:「強力でダイナミックなカリフォルニアの報道陣を再構築し、民主主義におけるジャーナリズムの重要な役割を強化する」
- カリフォルニア新聞出版協会:「長期的に地元ニュースを維持するための包括的なプログラムとなることを期待する第一歩」
■批判的な意見
- スティーブ・グレイザー上院議員:「完全に不十分」で、「長期的な解決策に向けた取り組みを著しく損なう」
- マイク・マクガイア上院議長代行:「新聞や地元メディアへの資金が不足しており、業界が直面している不平等に十分に対処していない」
- メディアギルド・オブ・ザ・ウェスト:「破滅的な取引」「脅迫」と非難
背景:ニュース業界の現状
近年、ニュース業界は厳しい状況に直面しています。
- 2023年:約2万1400人のジャーナリズム職が失われた
- 2024年:さらに1万人の雇用が失われる可能性
- カリフォルニア州:2005年以降、発行人の3分の1とジャーナリストの68%を失った
減少の要因
- 広告予算の成長鈍化
- インフレによるサブスクリプション成長の阻害
- テクノロジー企業の検索・フィードアルゴリズム変更
- AIが生成した概要によるパブリッシャーのトラフィック減少
- 無料コンテンツへの期待
Googleの立場
Googleは、自社を「世界最大のジャーナリズム財政支援者の一つ」と主張しています。
- 2020年以降、ジャーナリズムに10億ドル以上を投資
- グーグルニュースショーケースを通じて約180のメディアと協定を結んでいる
しかし、同社は出版社への補償を強制する政府の規制には反対の姿勢を示しています。
今後の展望
この契約は、ジャーナリズム支援の新たなモデルとなる可能性がありますが、同時に以下の課題も残されています。
- 他のテクノロジー企業(Meta、Amazonなど)からの支援の必要性
- 長期的な持続可能性の確保
- ジャーナリズムの独立性の維持
- AIとジャーナリズムの関係性の再定義
この契約が、ジャーナリズムの未来にどのような影響を与えるか、今後も注目が必要です。