Spring Boot入門｜仕組みと使い方をわかりやすく解説

JavaでWebアプリを作ろうとすると、設定が多く複雑で「動くまでが大変」と感じる人は多いでしょう。Spring Bootは、そうした煩雑さを解消し、数分でアプリを動かせるようにするために生まれたフレームワークです。

この記事では、Spring Bootの仕組みや特徴、何ができるのか、そしてなぜ多くの開発者に支持されているのかを丁寧に解説します。読むことで「Spring Bootとはどんなものか」「どんな場面で役立つのか」を理解し、自分で学びを広げるための第一歩を踏み出せるようになります。

監修者プロフィール

森下浩志

日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

Spring Bootとは？

Spring Bootは、JavaでWebアプリケーションを構築するための軽量フレームワークです。従来のSpring Frameworkの柔軟性をそのままに、設定や環境構築の負担を最小化することを目的として設計されています。

背景と開発の経緯

Spring Frameworkは機能が豊富な一方で、XML設定や依存関係管理に手間がかかり、初心者には難しいものでした。そこでSpringチームは、よりシンプルに、すぐ動かせる形でSpringを活かす仕組みとして「Spring Boot」を開発しました。

3つの主要特徴

• 自動設定（Auto Configuration）
  必要なライブラリを検出して自動的に設定。設定ファイルの手書き作業を減らす。
• スターター依存（Starter）
  「Web開発」や「データベース」など目的ごとのパッケージをまとめたテンプレートを利用可能。
• 組込みサーバ
  TomcatやJettyが最初から同梱されており、外部サーバの設定をしなくても起動できる。

これにより「すぐ動くJavaプロジェクト」が実現し、Spring BootはWeb開発の標準的選択肢となりました。

Spring Bootでできること

Spring Bootは単なる「便利なSpring」ではなく、Web・API・業務システム開発を一貫して支える基盤です。主に次のような開発に使われています。

とくに「設定不要で動く」設計思想が、近年のマイクロサービスやクラウド連携との相性を高めています。

Spring Bootの仕組みを理解する

Spring Bootは、アプリ起動時に自動的に必要な構成を判断して初期化します。
次のような仕組みで、設定を最小限に保っています。

1. 依存関係の検出
   追加されたライブラリを解析し、必要な設定クラスを自動読み込み。
2. 設定の自動適用
   XMLではなくJavaアノテーション（例：@SpringBootApplication）で構成を完結。
3. 組込みサーバの起動
   Tomcatが内蔵されているため、ビルド直後にそのまま動作。

こうした自動化の設計により、開発者は「設定」よりも「アプリのロジック」に集中できます。

Spring Bootの動作環境（2025年版）

学習や開発を始める際は、できるだけ最新の安定環境を整えるのがおすすめです。
2025年現在では、次の組み合わせが最も一般的です。

開発を始めるときに必要なもの

• JDK（Java Development Kit）：Javaの実行・コンパイル環境
• IDE（統合開発環境）：補完・デバッグを支援
• Spring Initializr（公式の初期化ツール）：依存関係を選ぶだけで雛形を生成できる

これらを使えば、環境構築に時間をかけずにすぐ開発を始められます。

コードを見ながら理解するSpring Bootの基本構造

Spring Bootがどのように動作するかを理解するために、最小構成のサンプルを見てみましょう。

@SpringBootApplication
public class DemoApplication {
  public static void main(String[] args) {
    SpringApplication.run(DemoApplication.class, args);
  }
}

この1クラスだけでWebアプリを起動できます。
@SpringBootApplication が自動設定をトリガーし、TomcatなどのWebサーバを内部で起動します。
複雑な設定ファイルを記述しなくても「動く」という点がSpring Bootの最大の特徴です。

続いて、簡単なAPIを1つ追加するだけでレスポンスを返せるようになります。

@RestController
public class HelloController {
  @GetMapping("/")
  public String hello() {
    return "Hello, Spring Boot!";
  }
}

このように、数行のコードでWebサーバ・ルーティング・レスポンスを構成できます。
“手軽に動くJavaアプリ”というイメージがつかめるでしょう。

よくあるつまずきポイント

Spring Bootはシンプルに見えても、初学者が必ず出会う壁があります。
仕組みの理解を進めるうえで、代表的な3つを覚えておくと安心です。

どのエラーも「何を自動で設定しているか」を理解すれば、落ち着いて対処できます。

Spring Bootが選ばれる理由

1. 学習コストが低い：XMLや外部サーバの知識がなくても始められる。
2. 拡張性が高い：Web、DB、セキュリティ、クラウドなど必要機能を後から追加可能。
3. 実務導入が進んでいる：多くの企業システムで採用されており、スキルの汎用性が高い。
4. コミュニティが強い：Qiita・Zenn・公式Docsに日本語情報が豊富。

これらの要因から、Spring Bootは「Javaを学ぶなら最初に触れるべきフレームワーク」として確立しています。

まとめ

• Spring Bootは、設定を自動化してJava開発を効率化するフレームワーク。
• 「すぐ動かせる」設計により、初心者でも短時間で成果を体験できる。
• 2025年は Java 21 × Spring Boot 3.5系 が最適な環境。
• 実務で使える拡張性・安定性があり、学習投資が無駄になりにくい。
• 概念理解から小さな実装体験までを通じて、Webアプリ開発の全体像をつかめる。

Spring Bootは、Javaを学ぶ人にとって「最初に成果を感じられる入り口」です。
仕組みを理解しながら少しずつ応用領域を広げていきましょう。